Tokyo Art Report

東京、ときどき近郊でのアート鑑賞レポート

土田圭介 鉛筆画展 心の灯り KEISUKE TSUCHIDA

週末の午後は吉祥寺へ。目的は、先日オープンしたアジア食品専門店「亜州太陽市場」の偵察と、最近ハマっている古着屋さん巡り、そして今回二度目の訪問になる「武蔵野市立吉祥寺美術館」でのアート鑑賞。

こちらの美術館、過去に一度来たときに何を観たのか全く覚えていないのに、入館料がほぼ無料に近かったことだけは覚えている。やはり、今回も入館料300円で企画展示室、浜口陽三記念室、萩原英雄記念室の3つを鑑賞できた。

今回の企画展示室は、10Hから10Bの鉛筆を駆使して、モノクロームの世界を描く鉛筆画家、土田圭介氏の展覧会。

来てよかった。まさに新しい才能に出会えた。

早速、私が目を奪われたのはこちらの作品。昨夜夕飯にキャベツを使ったからか、直感的にキャベツの精だ!と思ってしまった。白黒なのに、なぜかカラコンを入れているのでは?と思わせるような澄んだ瞳。タイトルはローマ字で《ASHITA》。Tomorrowを意味する「明日」と捉えていいのだろうか。それにしても、未来を感じさせる、希望を感じさせる。

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そして、今回ポスターにもなっている新作《行方》。拡大してみるとよくわかるけれども、私には不死鳥のように見える舟が、様々な思いを乗せて運んでいる。それにしても...この大作も全て鉛筆で描かれている。

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実は、土田氏の展覧会、2020年にも吉祥寺美術館で開催されたそうだが、緊急事態宣言によりわずか1週間で休館。今回は、前回より良い展示にして楽しんでもらいたい、と「祈り」をテーマに制作したとのこと。展覧会開催直前まで行われた制作過程については、You Tubeでも配信中。


www.youtube.com

風に吹かれている?いやいや、多分これから何かに変身する。

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鉛筆だからだろうか...本来ならグロテスクと思われがちな作品も、そう感じさせない。不思議とやわらかくてあたたかい。

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作品もさることながら、今回は作家の紡ぐ「言葉」も良かった。出品リストには、一部ではあるけれども作家の解説も載っていた。作品解説って、大概その道の研究者によって書かれている。でも、本当に作家はそう思って描いているのか...それが、作家本人が、自分の作品について、何を考え、何をイメージし、時には「説明が難しい」と正直な思いも吐露されていて。私は、帰宅後に読んで思いを巡らせたけれども、鑑賞予定の方は、入り口で出品リストを取るのをお忘れなく。作品をさらに楽しめます。

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