Tokyo Art Report

東京、ときどき近郊でのアート鑑賞レポート

アクセサリーミュージアム ACCESSORY MUSEUM

美容院で、たまたま目にした雑誌で紹介されていた「アクセサリーミュージアム」。こちらは国内最大級のコスチュームジュエリー専門の美術館。

コスチュームジュエリーとは...美術館の案内によると「貴金属や宝石などの高価な材料を使って作るジュエリーとは異なり、その時代の流行や表現にふさわしい素材で作られたファッション性の高い装身具」とのこと。

過去に、ジュエリーブランド「ショーメ」の展覧会に行き、しばらく夢見心地になったことがある。今回の雑誌に掲載されていたコスチュームジュエリーも、高価な材料を使っていないとはいえ、実際に見たいと思わせるものばかり。都内で、しかも最寄り駅は、住宅地のイメージが強い東急東横線の「祐天寺」。あんな住宅街に、そんな魅惑的な美術館があるのかと、早速、雑誌で知った2週間後に行ってきました。

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館内は、常設展と企画展にわかれており、ちょうど「巨匠たちのコスチュームジュエリー」と題して、新しい企画展が始まったばかり。シャネル、ディオール、そして、今回私が初めて知ったミリアル・ハスケルという、コスチュームジュエリー界の女王の作品、計3ブランドを展示中。

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シャネルにおいては、プロトタイプと呼ばれる量産前の試作品を展示。また、同時にコスチュームジュエリーを身に着けたシャネル・スタイルも。

両端のファッションなんかは、たとえシャネルのロゴがついていなくても「シャネルっぽい」と思わせてくれる。そんなスタイルを確立したココ・シャネルの功績は大きい。

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ディオールでは、私もここまでディオールの作品をゆっくり眺めたのは初めてだけれども、ダイアナ妃が愛用したことでも有名なバッグ「レディ ディオール」同様、かなりフェミニン。なんでも創業者のクリスチャン・ディオールは、フランスのブルジュワ階級に育ったらしく、インスピレーションは「幼少期の母親の優美な姿」と語っていたほどだとか。確かに、優美という言葉がピッタリ。それにしても、優美な母親って存在するんだ...

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なお、企画展のコスチュームジュエリーは、西洋アンティークショップ「桜アンティキテ」からも提供されているとのことで、同HPでも今回の展示品を見ることができます。

sakura-antiquites.com

続く常設展は、時代ごとに分かれており、1850〜1900年代のヴィクトリアン、1900年代のアールヌーボー1,2、1920〜30年代のアールデコ、1940〜60年代のオートクチュール、1970〜80年代のプレタポルテの計6部屋で構成。

やはり、私が心惹かれるのは、アールヌーボーの時代かな。

驚くことに、飾られているのはコスチュームジュエリーだけではなく、エミール・ガレのガラス作品や、ミュシャのポスターまで。両者とも人気な作家だけに、こちらの美術館から、どこかの展覧会に貸し出されることもあるのだろうか。

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アールヌーボーの次に気になるのは、オートクチュール。最近私がハマっている古着屋さん巡りでも、1950〜70年代のヨーロッパ製に心惹かれる。自分が実際には目にしていない時代のものだからか。思うに、二十歳前後のZ世代にとって、親世代に流行ったものが新鮮に映るようなものなのかもしれない。

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今回は、コスチュームジュエリーを見に行ったつもりが、思いがけず、その時代時代のファッション、絵画、ポスター、調度品、工芸品なども楽しむことができて大満足。

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ちなみに、これから鑑賞予定の方。冬のこの時期、館内は少し冷えます。地下1階にロッカーはありますが、上着を持ったまま鑑賞されることをオススメします。

acce-museum.main.jp