幸田文の本が登場したのが嬉しい。つい2ヶ月前まで実家に彼女の作品群があった。やむを得ず、急遽多くの蔵書とともに手放す羽目になったけれども。
劇中、古本屋の店主も語っていた。もっと彼女の作品は世に知られるべきだと。その通り。今でいう名エッセイスト。父、露伴との生活ぶりや日々の暮らしのあれやこれやが面白い。役所広司扮する平山が、畳の部屋を掃除するシーンは、彼女のエッセイから仕入れた生活の知恵なのではないかと思い出す。
それなのに、今や「こうだあや」と正確に読める人も多くないのでは。居酒屋のママはスラスラと読み上げていたけれども。私なら、初見では迷わず「ふみ」と読んでしまいそう。