Tokyo Art Report

東京、ときどき近郊でのアート鑑賞レポート

戦後80年 《明日の神話》 次世代につなぐ 原爆×芸術 Atomic Bomb×Art:Connecting the Next Generation

川崎市岡本太郎美術館には先月も行ったばかりだけれども、今回の展覧会も是が非でも行かねばならぬと行ってきた。

ikutan.hatenablog.com

なぜなら、今回は原爆がテーマだったから。子どもの頃の3年間を広島で過ごした私は、原体験に広島での平和教育がある。

渋谷駅の連絡通路に飾られている《明日の神話》を始め、岡本太郎は原爆や戦争をテーマにした作品を数多く残している。その中でもひときわ印象に残ったのは、こちら。1967年、ベトナム戦争の真っ只中に、ワシントン・ポスト紙に載った広告。漢字に馴染みのない人々も、この字体から何か叫びのようなものを感じ取ったのではないであろうか。

こちらもお気に入りの《ノン》。フランス語でいうところのNon!

今回、太郎の作品ももちろん良かったが、広島市立基町高等学校の生徒たちが描いた原爆の絵もすばらしかった。上手い下手の問題以前に、活動自体がすばらしい。こちらの高校では、生徒たちが被爆者から当時の様子を聞き取り、その記憶を「次世代と描く原爆の絵」として描く活動を20年近く続けているとのこと。

生徒たちの展示会場には、私が子どもの頃、原爆資料館や『はだしのゲン』で目にした光景が広がっていた。近年、原爆の映像や記録は、子どもたちには刺激が強すぎると見せない傾向にあると聞いていた。それだけに、このような活動があることには感動したし、今後支援していきたいとも思った。

会場の外では、活動の映像も流されていた。黒い雨の中をはしゃぐ子どもたちを描いた生徒さんと、それを語った被爆者の方のお話が大変興味深かった。

戦後80年。長いようで短い。人類の歴史を考えると、私が広島にいた頃は、戦後間もなくと言っていいくらいなのではないかと思う。その頃でさえ、戦争の気配は全く感じられなかった。

今の暮らしは、多くの先人たちのお陰で成り立っていること。本当に感謝しかない。

www.taromuseum.jp、

日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ! Rich Veins of Japanese Art Mining for Hidden Treasures

大阪・関西万博に行った際に、あわせて行きたかったのが大阪中之島美術館。万博で時間を取られて、つい行くのを後回しにしないようにホテルは美術館の近くを予約した。

今回の展示は、2000年以前はそこまで一般的には知られていなかった伊藤若冲が、今や大ブームとなっているように、現在は無名だけれども将来国宝になるべく鉱脈を探せ!というもの。学芸員の方々のキャプションも、ただの解説にはなっておらず面白い。

そんな中での、伊藤若冲と円山応挙の合作屏風は目を見張るものがあった。

ところで、今回初めて中之島を訪れて驚いたこと。それは、2つの川に挟まれた東西3キロメートルほどの中洲に、美術館が4館も存在すること。また、大阪市中央公会堂を始めとした重要文化財指定の歴史的建造物があるうえに、大阪中之島美術館のような新しい建築物もあること。安藤忠雄氏設計の「こども本の森 中之島」も良かった。

これらの情報、東京ではあまり知られていないようでもったいない。

nakanoshimalab.jpじ

現に、中央公会堂内のレストランも中之島図書館内のカフェも、こども本の森も地元の人々で盛り上がっていたように思う。

中之島図書館にある「スモーブローキッチン中之島」では、築100年超の建物に配慮して火を使わないデンマーク料理を提供していた。

中之島、またじっくり行きたい。

nakka-art.jp

大阪・関西万博 OSAKA,KANSAI,JAPAN EXPO 2025

大阪・関西万博のパビリオン予約。噂には聞いていたけれども、案の定7日前抽選にはすべて落ち、それだけで、その後の空き枠先着予約や当日登録には挑む余力がなくなってしまい、当日は流れに任せて鑑賞することにした。

結果、限られた時間を有効活用しようと、ほとんど並ぶ必要のない、コモンズという、一つの建物の中で、小国や地域がまとめて展示されているパビリオンのAからDまでを制覇することになった。

本当は名作が来ているイタリア館に行きたかったし、フランス館にも行きたかった。

でも、コモンズ館に行ったことで、エチオピア産オパールのカラーバリエーションが豊富なことを知り、

ある国のブースでは、廃棄金属材料から作られた見事なアート作品を観ることができ、

スーダンでは、革製のお土産を購入することができた。

屋外では、人気パビリオンの外観を楽しむだけに留まったが、思いがけず、昨年、とある展示会でトークを聞いた、檜皮一彦氏の作品も観ることができた。

大阪・関西万博、大阪に住む同期も、神戸に住む同級生も、自身はもちろん、周りでも行っている人はいないと言っていたけれども、それなりに楽しめる。

www.expo2025.or.jp

岡本太郎と太陽の塔ー万国博に賭けたもの Okamoto Taro and Tower of the Sun

大阪・関西万博が思いのほか盛り上がっているようだが、こちらの展覧会については、あまり知られていないかもしれない。でも、どうせ行くなら過去の万博についても知っておきたい。

おなじみ《太陽の塔》の後ろ姿。

こちらは《若い太陽の塔》。

今回、偶然上映していた長編記録映画が面白く、1時間ほど見入ってしまった。3時間弱のフィルムだったけれども、展示室とは別の無料エリアということもあり、こちらを目当てに来られた方もいたようだ。

1970年は、日本にまだ外国人が珍しかった時代。また当時のファッションも興味深い。今より暑くなかったと思うけれども、日傘をさしている人は少なく、女性はワンピース、男性は白シャツやスーツ姿が目立つ。男女とも、つばの広い帽子を被っていたのが印象的だった。男の子は野球帽。

2025年の万博には、これから行く予定。事前の予約抽選は今のところ全滅だけれども、何か一つだけでも楽しんできたい。

www.taromuseum.jp

志摩観光ホテル ザ クラシック Shima Kanko Hotel

ここ最近は、この宿に泊まりたい!から始まる旅行計画。

まだ桜が咲く前、伊勢神宮の朔日参りに合わせて、2016年の伊勢志摩サミットの会場にもなった志摩観光ホテルに行ってきた。

現在、大阪・関西万博開催中であるけれども、こちらのホテルは、1970年の大阪万博の際、賓客用に建てられたらしい。当時、日本国内の新婚旅行先にも人気で、50年以上を経た今、金婚式等で訪れる年配のご夫婦も多いのだとか。という諸々の話を、参加した館内見学ツアーで教えていただいた。

確かに、若いカップルより、落ち着いた感じのご夫婦や成人した子どもとご両親と思しき組み合わせ、小さいお子さんを連れた三世代家族の姿が目立った。

クラシックホテル好きには、ただその佇まいだけで大満足なのだけれども、今回事前に知らずに驚いたこと。それは、館内の至る所に絵画が飾ってあったこと。しかも、藤田嗣治や小磯良平、ベルナール・ビュッフェの絵まで。思いがけないところでの遭遇に、思わず、え?本物???と声を上げてしまったほど。

藤田嗣治《夢》

ベルナール・ビュッフェ《家》

また無料で利用できるラウンジの充実ぶりにも驚いた。ホテル周辺にはお店がほとんどなく、最寄り駅のコンビニも18時に閉店してしまうからであろうか。ラウンジで軽い朝食や昼食も済ませられるのではないかと思うくらい、メニューが充実していた。

今回は、夕飯を伊勢神宮付近で食べようと、ホテルの看板でもあるディナーを予約していなかったことが悔やまれる。

また行かないと。

www.miyakohotels.ne.jp

戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見 Back to Modern Graphic Design from West Germany

約3年ぶりに会う友人たちとの再会場所に選んだのは、東京都庭園美術館。

過去に何度も訪れているけれども、グラフィックデザインの展示とは目新しい。

それより何より、今回入口で配布されたガーデンマップを片手に庭園を散策したところ、立派な日本庭園の存在に初めて気が付いた。これまで、本館、新館と一部の庭園を見て、すっかり全てを見た気になっていた。

圧倒的な広さを誇る日本庭園には、お茶室もあり、春夏秋冬楽しめそう。

www.teien-art-museum.ne.jp

清水ミチコ万博 ~ひとりPARADE~

平日の仕事帰りに30分遅れで到着した清水ミチコライブ。噂には聞いていたけれども、やはり長く活躍し続けている方は違う。プロの仕事に襟を正された思い。

ただそっくりに真似ているだけではない面白さ。ご本人の表現を借りると、愛の溢れた憑依。楽曲も70年代ヒットメドレーから、昨年話題になった『Bling-Bang-Bang-Born』の替え歌までと幅広い。

また、日本に生まれ育ったのなら誰もが知っているであろう童謡のアレンジや『まんが日本昔ばなし』ならぬ「最近話」を市原悦子さんのモノマネで、などなど。荒井由実時代のユーミンメドレーも良かった。その時代に見聞きしていない、知らない曲もあるのに、似ていると思わせる不思議さ。とにかく、老若男女を飽きさせない。

来年は、恒例の武道館ライブに参加してみたい。

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