Tokyo Art Report

東京、ときどき近郊でのアート鑑賞レポート

『花様年華 4K』 In the Mood for Love

不覚にも、上映時間に少し遅れて冒頭を見逃してしまった。最初の10分は予告を流しているはず、という淡い期待も虚しく。

小説でいうと、例えば『坊っちゃん』(夏目漱石著)の「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。」とか、『雪国』(川端康成著)の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」とか、はたまた『走れメロス』(太宰治著)の「メロスは激怒した。」などなど、出だしの一文を読み飛ばしてしまったのも同然かも。

作品については、主演のマギー・チャンの旗袍(チャイナドレス)姿が、とにかく美しい。この映画のため、彼女に合わせてデザインされているので、美しく見えるのは当然だとしても、ジバンシィがオードリー・ヘップバーンの衣装を手掛けたのに匹敵するくらいの相乗効果を発揮しているのではないか。現に、公開された2000年以降、下火だった旗袍の人気は再燃したらしい。それにしても、民族衣装は、その国の出身者を最も輝かせる。

ところで、オシャレの定義は人によって異なると思うけれども、私が常々オシャレだなあと感じる人とは。それは、服をたくさん持っている人でも、流行の服を着ている人でもなく、自分のサイズに合った服を着ている人。そんなの当たり前と思うかもしれない。でも、日本の既製服は、日本人の平均体型を形にした工業用ボディで製作されるため、ピッタリ合う人は珍しい。インポートブランドについても、国やブランドによって様々。そこを理解していて、服をオーダーしたりお直ししたり、という手間暇を惜しまない人。私もそういう人でありたい。

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