Tokyo Art Report

東京、ときどき近郊でのアート鑑賞レポート

河鍋暁斎 躍動する絵本 Picture Books of KAWANABE Kyosai

浮世絵のコレクションで有名な「太田記念美術館」。以前参加したアートツアーで、浮世絵のレクチャーをされた学芸員さんが、とにかく個性的な方で。その方がお勤めする美術館でもあり、都心で数少ない浮世絵専門の美術館でもあり、そして私の大好きな表参道にある美術館、ということで、ずーっと気になっていたのが、今回ようやく行くことができました。

場所は、表参道からヒョイッと横に入ったところ。ラフォーレ原宿の裏手。

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ちなみに、ラフォーレ原宿の裏側はこちら。長年、表側ばかり見てきて、今回初めて裏側をみたけれども、「原宿に昔から君臨するファッションビル」という私の勝手なイメージとは裏腹に、意外にも和のテイスト。

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さて、今回の展覧会は「河鍋暁斎 躍動する絵本」。

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これまであまり触れられてこなかった暁斎の代表的な「絵本」を取り上げ、「人間と骸骨」「動物と自然」「妖怪と人物」の3つのコーナーに分類して紹介。

そんな中で印象に残ったのは、冒頭に展示されていた西洋の解剖書模写。暁斎の絵が躍動感あふれるのは、こういったものもちゃんと描いてきたからかも。解剖学の知識を、自身の絵画にも存分に発揮させたレオナルド・ダ・ヴィンチを彷彿させる。

また、文明開化が起こった明治初期を描いた作品も面白い。一生懸命、西洋の風俗習慣を取り入れようとしている七福神。しかし、福禄寿は頭が長すぎてシルクハットにおさまらず、布袋はお腹が出すぎて洋服が入らず、両側から唐子たちに洋服を引っ張られている始末。人間だけでなく、七福神も時代の波に翻弄されている姿が滑稽だ。

上野などで開催されている大型展覧会と比べると、さほど展示作品は多くない。それでも、十分お腹いっぱいに。

www.ukiyoe-ota-muse.jp