Tokyo Art Report

東京、ときどき近郊でのアート鑑賞レポート

ザ・フィンランドデザイン展 Finnish Design

2021年のアート納めは、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ザ・フィンランドデザイン展」に。

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思えば、フィンランド等の北欧デザインが、オシャレだと憧れの対象のようなものとして意識されだしたのは、いつの頃からだろうか...少なくとも私は、2006年にIKEA船橋(現IKEA Tokyo-Bay)がオープンしたときは、ワクワクしながら電車を乗り継いで店舗を訪れた記憶があるので、その頃には既に、北欧に対して一定のイメージを持っていたのではないかと思う。

実際フィンランドにおいては、1950年代のミラノトリエンナーレでの活躍で、デザイン国家としての地位を不動のものにしたらしい。それから70年あまり。長いようで短い。

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ところで、ここに来てフィンランド関連の展覧会が続いている。私が行っただけでも、今年の春には、世田谷美術館で「北欧の賢人」とも言われた建築家、アルヴァ・アアルトとその妻を取り上げた「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」。2019年には、フィンランドにインスピレーションを得たというデザイナー皆川明の「ミナペルホネン / 皆川明 つづく」が、東京都現代美術館で。また、おなじみトーベ・ヤンソンの「ムーミン展」が森アーツセンターギャラリーで。なお、今挙げた3組は、今回の展覧会にも登場する。というのも、今回はフィンランドデザインを総合的に知ってもらおうと、50人以上のデザイナーやアーティストの作品を展示しているから。

その中には、「ウニッコ」の柄で有名はマリメッコ社の製品も多くあり、製品はもとより、その理念には感嘆した。サステナビリティが叫ばれるずっと前から、コレクションが変わっても、同じデザインのものを使うときもあったとか。ブランドのコレクションといえば、毎回、とにかく少しでも新しいもの、目新しいものをとのイメージが強い。そこをあえて同じデザインでいくとは、サステナビリティ以前に静かな自信を感じる。

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それ以外に印象に残ったのは、タピオ・ヴィルッカラの《杏茸(あんずたけ)》というガラス製品。杏茸とは、あんずの香りのするきのこのこと。ガラスで、きのこの丸みや、傘の内側のひだを見事に表現していて、1951年開催のミラノトリエンナーレでも大きな話題になったらしい。その上、今回の展示では、製品への照明の当て方が絶妙で、白い台座に美しい曲線とひだの影ができていて、何回観に戻っても飽きない美しさだった。

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鑑賞後は、Bunkamuraのロビーラウンジで、ザ・フィンランド展とのタイアップメニューをオーダー。半券提示で200円オフ。ランチタイムは、さらにコーヒーか紅茶付き。

www.bunkamura.co.jp