Tokyo Art Report

東京、ときどき近郊でのアート鑑賞レポート

市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露十二月大歌舞伎八代目市川新之助初舞台 December Program at the Kabukiza Theatre

1年ぶりの歌舞伎鑑賞。

市川海老蔵改め團十郎は、好き嫌いのはっきり分かれる役者だと思う。でも、舞台上では、嫌いな人をもうならせる圧倒的な存在感がある。

『京鹿子娘二人道成寺』では、中村勘九郎と尾上菊之助が白拍子花子を演じた。二人の舞踊は、衣装もろとも華やかでうっとりする。本物の女性よりも艶っぽい所作に、爪の垢を煎じて飲みたいくらい。そこに、大館左馬五郎演じる團十郎が登場することで、舞台が一変する。舞台の最後、ほんの数分間の出演にもかかわらず。

次いで『毛抜』は、勸玄くんこと市川新之助の初舞台。前回彼を観たのは、3年前。『外郎売』の長いセリフを、一度なりともつかえることなく言い切り、劇場内では割れんばかりの拍手が起こった。

今回は、粂寺弾正役。わずか9歳ながら、女性を口説き、あっさり振られてしまう演技なども披露する。所作が少し雑だと感じる場面もあったが、そこは小学生の男の子。これから徐々に完成していくのであろう。最後の見得も決まっていた。

ところで、1年ぶりの歌舞伎座は、色々と仕様が変わっていた。

まず、前回は、禁じられていた大向う(「成田屋!」「中村屋!」などの掛け声)が復活。でも、なんだか以前と違う。今までは、もっと年季が入った声だったけれども、少し若いような。しかも間も悪い。新入り?

と思っていたら、休憩中に「大向うは、劇場関係者に限らせていただきます。それ以外の方はご遠慮ください」とのアナウンスが……

読売新聞によると、大向うは、今回の襲名披露から再開したらしい。アクリルパネルで間仕切りした「大向うエリア」から、劇場指定の関係者がマスクをした状態で実施とのこと。

また、今回、イヤホンガイドを借りるつもりでいたが、今までは各フロアで借りられるようになっていたのに、1階のみの貸し出しに変更されていた。感染防止策だと思うが、保証金制度もなくなっていた。以前は、イヤホンガイドを借りる際に、使用料と保証金1,000円を払い、返却時に、保証金を返してもらうシステムだった。毎回、イヤホンガイドの返却場所には、1,000円札の束を持った劇場スタッフが数名待機しており、返却と同時にお札を渡す姿が、風物詩のようでもあった。今日日、持って帰ってしまう人なんて本当にいるの?と思っていたけれども、この姿が見れなくなるのは、少しさみしい。

ところで、歌舞伎座では、教科書に載っているような日本画家の作品も楽しめる。これは、ほんの一部。

伊東深水《春宵》

東山魁夷《秋映》

小林古径《犬(庭の一隅)》

訪れたのは千穐楽。小学生くらいの子どもや外国人の姿も見かけた。昨年よりは観客も戻ってきているのかな。ぜひ、幕見席も復活させてほしい。

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