Tokyo Art Report

東京、ときどき近郊でのアート鑑賞レポート

大島 OSHIMA/瀬戸内国際芸術祭2022 SETOUCHI TRIENNALE2022

旅の2日目は、大島、女木島(めぎじま)、男木島(おぎじま)へ。

今回、瀬戸内国際芸術祭に参加するのに際し、既に訪れたことのある友人に見どころを聞いた。「初めて行くならツアーがおすすめ」と言われ、直前でも休日に空いていたのが、こちらのオフィシャルツアーだった。

setouchi-artfest.jp

少なくとも、直島、豊島、犬島には行こうと思っていたけれども、それ以外の島については、漢字の読み方さえもわからず、ほぼ予備知識ゼロの状態。

すんなり予約が取れたことに、もしかしたら、あまり人気のない島々なのかも……と心配していたが、結果、行って良かった。特に大島には。むしろ、必ず訪れるべき場所なのではないかと感じた。

ここには、ハンセン病の療養所「大島青松園」がある。ハンセン病……一時ニュースによく取り上げられていたけれども、耳にしなくなって久しい。私も、裁判に「勝った」というところで、記憶が止まってしまっている。

国立ハンセン病資料館のパンフレットによると、全国には国立私立あわせて14の療養所があるとのこと。現在もなお、療養生活を送っている人がいることに驚かされる。

大島に降り立つと、島内放送のような感じで、耳に優しい音楽が流れている。これは、弱視になる患者が多いため、合図として流しているそうだ。海岸付近には松が生え、まるで日本庭園のような風情。港からの眺めも、今回巡った6つの島の中で、一番美しいと感じた。

でも、写真を撮る気にはなれなかった。

島内のアート作品については、田島征三氏の《「Nさんの人生・大島七十年」ー木製便器の部屋ー」》が一番印象に残った。

田島氏といえば、力強い絵が印象的な絵本作家。私も子どもの頃から、彼の絵本がお気に入りで、『ふるやのもり』は、大人になって買い求めた。

《「Nさんの人生・大島七十年」ー木製便器の部屋ー」》は、田島氏が、入所者Nさんから隔離政策が行われていた頃の話を聞き制作したもの。実際には、各部屋の壁やふすまに文章が綴られており、非常に生々しい。行く機会のある方は、是非ご自分の目で確かめてきてほしい。

私は、ハンセン病について何も知らない。東京に戻ってきてから、山陽新聞社編の『語り継ぐハンセン病ー瀬戸内3園から』を読みすすめている。

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